Visual Basic .NET (VB.NET) と C# は、Microsoft の .NET プラットフォーム上で動作する言語で、機能の大部分は共通しています。しかし、構文、開発思想、および将来性において明確な違いがあるので、調べてみました。
1.全体的な違いの比較表
| 特徴 | C# (シーシャープ) | VB.NET (ビジュアルベーシック) |
| 構文スタイル | C系 (Java, C++, JSに近い) | 英語の文章に近い (自然言語風) |
| ブロックの区切り | { } (波括弧) | End If, Next, End Sub など |
| 行末の扱い | ; (セミコロン) が必須 | 改行が文の区切り (行継続は _) |
| 大文字・小文字 | 区別する (Case-sensitive) | 区別しない (Case-insensitive) |
| 学習曲線 | 記号が多く、最初は少し慣れが必要 | 英語が読めれば直感的で入りやすい |
| 市場シェア・将来性 | 圧倒的に主流。新機能が優先される | 保守フェーズ。新機能追加は限定的 |
2.C# にできて、VB.NET にできない(または苦手な)こと
C# は Microsoft の主要言語であり、最新の .NET 機能が優先的に実装されます。
- ポインタの直接操作 (Unsafe Code)
- C# では
unsafeブロックを使用し、メモリ上のアドレス(ポインタ)を直接操作できます。高度なパフォーマンス調整などに利用されます。 - VB.NET では言語機能として直接的なポインタ操作はサポートされていません。
- C# では
- 最新の .NET テクノロジーの利用
- Blazor や .NET MAUI など、新しいフレームワークや技術のテンプレートは、C# での記述が前提となっていることが多いです。
- checked / unchecked の細かい制御
- 数値演算のオーバーフローチェックを、C# ではコードブロック単位 (
checked {}) で細かく制御できます。
- 数値演算のオーバーフローチェックを、C# ではコードブロック単位 (
- 簡潔な記述 (シンタックスシュガー)
- ラムダ式の省略記法、switch式、高度なパターンマッチングなど、コード量を減らすための新しい機能が C# には豊富にあります。
3.VB.NET にできて、C# にできない(または苦手な)こと
VB.NET は「生産性」と「直感性」に焦点を当てた独自の機能を持っています。
- XML リテラル (XML Literals)
- VB.NET の最大のユニーク機能です。コード内に XML を直接書き込み、変数として扱えます。
- C#では文字列として扱うか、クラスを使って組み立てる必要があります。
VB
' VB.NETならこう書ける
Dim myXml = <Customer>
<Name>Tanaka</Name>
</Customer>- My 名前空間 (My Namespace)
My.Computer,My.Userなど、ファイル操作、ネットワーク、PC情報といった共通の機能へ、初心者でも簡単にアクセスできるショートカットが用意されています。
- イベント処理の記述 (Handles)
- メソッドの定義に
Handles Button1.Clickのように記述するだけで、イベントと紐付けが可能です。
- メソッドの定義に
- 大文字・小文字の区別をしない (Case-Insensitive)
- 変数名や関数名のスペルが正しければ、大文字・小文字を間違えてもコンパイルが通ります。
4.コードの見た目の違い(比較)
「もし X が 0 より大きければ処理する」というコードの比較です。
C#の場合
C#
if (x > 0)
{
// セミコロン必須、波括弧で囲む
Console.WriteLine("Positive");
}VBの場合
VB
If x > 0 Then
' Then と End If が必要、セミコロン不要
Console.WriteLine("Positive")
End If💡 まとめと推奨
- これからプログラミングを学ぶ / 新規開発をする場合: 間違いなく C# をおすすめします。求人数が多く、ライブラリやドキュメントも豊富で、Microsoft の開発の主軸だからです。
- 既存の VB.NET システムを保守する場合 / とにかく手軽にツールを作りたい場合: VB.NET は依然として強力です。特に「My 名前空間」や「大文字小文字を気にしない」点は、小規模な業務ツールをサッと作る際に高い生産性を発揮します。


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